リース契約期間が満了を迎えた複合機(コピー機)。多くの企業が直面するこの状況で、「リース会社へ返却」と「買取業者への売却」という2つの選択肢を前に、どちらが経済的にメリットがあるのか判断に迷われることでしょう。本記事では、リースアップした複合機の処理方法について、返却時の注意点から買取査定のポイント、そして最終的にどちらを選ぶべきかまで、経理担当者や総務担当者が知っておくべき全ての情報を詳しく解説いたします。適切な判断により、無駄なコストを削減し、場合によっては思わぬ収益を得ることも可能です。<h2>リースアップ複合機の基本的な選択肢</h2>リース契約が満了した複合機には、主に3つの選択肢があります。第一に「リース会社への返却」、第二に「再リース契約の継続」、そして第三に「買取(売却)」です。この中で、多くの企業が検討するのが「返却」と「買取」の2つの選択肢です。<h3>リース会社への返却</h3>最も一般的な選択肢がリース会社への返却です。契約満了と同時に機器を返却し、リース契約を完全に終了させる方法です。この場合、企業側に追加の費用負担は基本的に発生しませんが、機器の状態によっては「原状回復費用」が請求される可能性があります。<h3>買取業者への売却</h3>もう一つの選択肢が、専門の買取業者に複合機を売却する方法です。リース契約満了後、機器の所有権が企業に移転するケースにおいて選択可能な方法で、機器の状態や市場価値によっては、まとまった現金収入を得ることができます。<h2>返却時に発生する可能性のあるコスト</h2>リース会社への返却は「無料」と思われがちですが、実際には様々なコストが発生する可能性があります。これらのコストを事前に把握しておくことで、買取との比較検討が可能になります。<h3>原状回復費用</h3>リース契約では、機器を「契約時と同等の状態」で返却することが求められます。通常の使用による摩耗は問題ありませんが、明らかな損傷や汚れがある場合は、原状回復費用として数万円から十数万円の請求を受ける可能性があります。特に、トナーの飛散による内部汚れや、用紙詰まりによる内部部品の損傷などは、高額な修理費用の対象となりやすいポイントです。<h3>搬出・運搬費用</h3>複合機の搬出作業は、その重量とサイズから専門業者による作業が必要となります。リース会社によっては、この搬出・運搬費用を借主負担とする契約もあり、数万円の費用が発生する場合があります。特に、設置場所が上層階にある場合や、搬出経路が複雑な場合は、追加料金が発生することもあります。<h2>買取査定で重視される5つのポイント</h2>複合機の買取査定では、以下の5つのポイントが重要な評価基準となります。これらを理解しておくことで、査定前の準備や交渉において有利に進めることができます。<h3>1. メーカーと機種</h3>複合機の買取価格は、メーカーと機種によって大きく左右されます。一般的に、リコー、キヤノン、富士フイルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)、コニカミノルタ、シャープといった大手メーカーの製品は、中古市場での需要が高く、高価買取が期待できます。特に、これらのメーカーの上位機種や、発売から3年以内の比較的新しいモデルは、査定額が高くなる傾向があります。<h3>2. 印刷枚数(カウンター数)</h3>複合機の「寿命」を示す最も重要な指標が、総印刷枚数(カウンター数)です。一般的に、モノクロ印刷で100万枚、カラー印刷で50万枚を超えると、査定額は大幅に下がります。逆に、印刷枚数が少ない機器は、まだまだ現役で使用できるため、高価買取の対象となります。<h3>3. 外観の状態</h3>機器の外観状態も査定に大きく影響します。目立つ傷や汚れ、シールの貼り付け跡などがある場合は、査定額の減額要因となります。査定前には、可能な範囲で清掃を行い、外観を整えておくことが重要です。<h3>4. 動作状況</h3>当然ながら、正常に動作することが買取の前提条件です。印刷品質、スキャン機能、FAX機能(搭載機種の場合)など、全ての機能が正常に動作することが確認できれば、査定額にプラスの影響を与えます。<h3>5. 付属品の有無</h3>電源ケーブル、LANケーブル、操作マニュアル、ドライバーCD、トナーカートリッジなどの付属品が揃っていることも、査定額に影響します。特に、未使用のトナーカートリッジがある場合は、大幅な査定額アップが期待できます。<h2>返却 vs 買取:判断基準となる3つの要素</h2>リース会社への返却と買取業者への売却、どちらを選ぶべきかの判断には、以下の3つの要素を総合的に検討する必要があります。<h3>1. 機器の市場価値</h3>まず最初に確認すべきは、その複合機の中古市場での価値です。発売から5年以上経過した機種や、印刷枚数が非常に多い機器の場合、買取価格は期待できません。一方、比較的新しい機種で印刷枚数が少ない場合は、数十万円の買取価格がつくこともあります。<h3>2. 返却時のコスト</h3>リース会社への返却時に発生する可能性のあるコスト(原状回復費用、搬出費用など)を正確に把握し、買取価格と比較検討します。返却コストが高額になる場合は、買取を選択する方が経済的にメリットがある場合があります。<h3>3. 手続きの複雑さ</h3>返却手続きは比較的シンプルですが、買取の場合は査定依頼、価格交渉、契約手続きなど、やや複雑な手続きが必要となります。担当者の工数や時間的コストも考慮に入れる必要があります。<h2>買取を選択する場合の注意点</h2>買取を選択する場合には、以下の点に注意が必要です。<h3>リース契約の確認</h3>まず最初に、リース契約書を確認し、契約満了後の機器の所有権について明確にしておく必要があります。一部のリース契約では、契約満了後もリース会社に所有権が残る場合があり、この場合は買取業者への売却はできません。<h3>複数業者での相見積もり</h3>複合機の買取価格は業者によって大きく異なります。1社だけでなく、複数の業者から見積もりを取得し、最も条件の良い業者を選択することが重要です。<h3>データ消去の確実な実施</h3>複合機のハードディスクには、過去に印刷・スキャンしたデータが残っている可能性があります。買取前には、専用ソフトウェアを使用してデータを完全に消去するか、業者にデータ消去サービスを依頼することが重要です。<h2>まとめ</h2>リースアップした複合機の処理方法として、「返却」と「買取」のどちらを選ぶべきかは、機器の状態、市場価値、そして返却時のコストを総合的に判断する必要があります。比較的新しい機種で印刷枚数が少なく、外観状態が良好な場合は、買取を検討する価値があります。一方、古い機種や印刷枚数が多い機器の場合は、返却を選択する方が無難でしょう。いずれの場合も、事前の情報収集と複数の選択肢の比較検討が、最適な判断につながります。

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